音信不通の父親が亡くなったと警察からの連絡で
娘さんから、部屋の片付けのご依頼のときでした。不動産屋さんと娘さんが、部屋の立会いにこられ、見積りをして、作業をさせていただきました。
娘さんは、お部屋の中をチラッと見ただけで、部屋の外にでてしまわれ、そっけない態度です。
それも、納得でした。
散々迷惑をかれた上、10年近くも音信不通、警察から突然の電話で、亡くなったと聞かされ、やってきたとのことです。
娘さんは、部屋の片付けをお金を出してやる義務はないと。アパートの管理会社に主張したようでしたが、管理会社は、法律、慣例などから、相続人が、整理すべきと押し切られたそうです。
何もよくわからずに、家賃の未払い金、公共料金、現状回復費などと、当社への家財処分料など合わせて35万円ほどの支払いを行ったということでした。
こちらのケースは、相続人である娘さんが、賃借権は、相続することになります。また、お父さんが所有していた家財も相続することになりますね。
相続は、必ずしも価値ある財産ばかりでなく、マイナスの財産も相続する必要があります。
ただし、賃料や現状回復費用は、賃貸時に連帯保証人がいれば、大家さんは、保証人と相続人双方に請求権がありますので、支払い能力が相続人にない場合は、保証人が肩代わりして支払いするケースもあります。
相続放棄すれば、支払いを逃れることができます
今回娘さんは、相続放棄しておりませんでした。亡くなったお父さんに大きな借金もなく、大事にいたらす、お父さんの整理を行いました。
ただ、お父さんに借金があったりするなら、相続放棄する道を選ぶと良いでしょう。相続放棄すると、家賃の未払い。原状回復費の費用から、家財処分の責任もなくなります。
ただここで、注意があります。
賃貸の際に、このケースでは、娘さんが保証人になっていた場合は、話が違います。相続放棄と保証人の責任は、切り離して考えなくてはなりませんから、家賃の未払い、現状回復の費用の負担は、逃れられません。
今回は、亡くなった身内の方の賃料・家財処分の支払い義務と相続放棄について簡単にお話しました。さらに詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
相続放棄の手続きは、そんなに難しくありません。
手続きは、必要な書類と家庭裁判所から相続放棄申述書をダウンロードして、または、もらって、「申請者本人の戸籍謄本・亡くなった方の戸籍謄本と最後の住民票」をそろえて、亡くなった方の住所管轄の家庭裁判所に提出します。原則3ヶ月以内での提出になりますので、その点ご注意ください。